astamuse Lab

astamuse Labとは、アスタミューゼのエンジニアとデザイナーのブログです。アスタミューゼの事業・サービスを支えている知識と舞台裏の今を発信しています。

データドリブンな企業とは何か~アスタミューゼ流宴会術~

こんにちは 今回、開発・デザイン以外の部署からゲスト寄稿させていただくことになりました亀久です。

自己紹介の前に、まだこのブログではアスタミューゼの組織体制がどうなっているのかを明らかにしたことがなかったと思うので、そのあたり簡単にご説明しますね(2017年9月現在)

アスタミューゼには、コーポレート本部を除くと大きく分けて3つの部署があります。

テクノロジーインテリジェンス(TI)部

『未来を創る2025年の成長領域』のコンセプト作りや、自社データベースを活用した技術情報の調査・分析業務などを行うアスタミューゼの頭脳集団

事業開発部

TI部が生み出すコンセプトやデータをもとにサービス/プロダクトを展開するビジネスサイドの部署。 新規事業開発支援/人材採用支援/知的情報Webプラットフォームの3事業に分かれています。 また、広報チームもこの部署です。

開発・デザイン部

上記を可能にするのが結局ここの人たち

私の所属は事業開発部ですが、特定の事業を専門に担当しているわけではありません。 TI部が生み出したコンセプトやデータをもとに、新サービスのプロトタイプとなるコンテンツを企画し、開発・デザイン部と連携して形にし、広報と連携して外部に発信していくという部署横断的な仕事をしています。

本記事では、日々の業務の中で、どのようなデータを活用してどういったコンテンツを開発しているのか、その一部をご紹介したいと思います。

アスタミューゼのイノベーションDBと『未来を創る2025年の成長領域』

まず、アスタミューゼがどのようなデータベースを持っているのか、下記の図をご覧ください。

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世界80ヵ国の新事業/新技術/新製品と投資情報をイノベーションDBとして保有しており、技術データが約8000万件、クラウドファンディングをはじめとするCtoCデータが約7200万件、企業データが約730万社、グラントデータが約300万テーマに上ります。

たしかに膨大なデータではあるのですが、アスタミューゼの「秘伝のたれ」は、むしろこちらの『未来を創る2025年の成長領域』のほうだったりします。

これらは、今後特に有望と思われる事業の指針となる市場群で、TI部が各種データおよび国内外の国際会議やシンポジウム・展示会等の情報、並びに独自のネットワークによる口コミ情報等を結集・分析し、策定しています。

アスタミューゼでは、膨大なデータと投資情報をこの『未来を創る2025年の成長領域』に沿って分類することで、企業や個人が未来を把握するお手伝いをしています。

それではこのイノベーションDBと『未来を創る2025年の成長領域』を活用したコンテンツ例をご紹介します。

(コンテンツ例1)AI分野の研究テーマ別日米比較

下の2つのグラフは、日米のAI分野における研究テーマを「どのような用途で研究しているか」という切り口で分析したものです。

日本の文部科学省による科学研究費助成事業(科研費)と、アメリカ国立科学財団 (National Science Foundation; NSF)から交付される競争的研究資金プログラムに採択された研究テーマから、独自の検索定義によりAI分野における研究テーマを抽出して用途別に分類しています。

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ざっくり言うと、日本よりもアメリカのほうが用途明確で実践的な研究が多い、ということを示すデータです。
集計方法などの詳細についてはこちらの記事をご参照ください。

AI分野の研究テーマ日米比較 「医療・ヘルスケア」はアメリカがリード、日本は「生産技術」に注力

グラントの次は、人材採用に関するデータ活用の例です。

(コンテンツ例2)成長領域別の求人倍率推移

アスタミューゼでは『未来を創る2025年の成長領域』に沿って希少人材の採用支援サイト『転職ナビ』を約400種類運営しており、有望成長市場の変動に伴って新サイトの追加や入れ替えを行っています。

ちなみに最近リリースしたサイトには、このようなものがあります。

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防衛技術転職ナビ

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金融システム・Fintech転職ナビ

こういったサイトが約400あるわけですが、これらの求人票データや登録者データを分析して成長領域別の求人倍率推移を出してみました。

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ざっくり言うと、成長領域における希少人材の求人倍率(17年5月時点)は最低の「農業・食品工業」領域で37.47倍、最高の「エレクトロニクス」で121.69倍(一般職業紹介の求人倍率は同時点で1.49倍)と、希少人材の希少ぶりを示すデータです。 集計方法などの詳細や、アスタミューゼの採用支援サービスについてはこちらの記事をご参照ください。

400の転職ナビで「希少人材」を採用|アスタミューゼが仕掛ける成長戦略とは?(HR NOTE)

それでは最後にもうひとつ、とあるデータを見ていただきたいと思います。

(コンテンツ例3)牽制マトリクス

こちらの表は、社内では「牽制マトリクス」と呼ばれているものです。

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これは特許の「牽制」情報から、自社技術を活かせる新たな領域を見つけるためのもので、縦軸に自社の技術、横軸に『未来を創る2025年の成長領域』の有望成長市場群が並べられています。 そのロジックについては当ブログの過去記事が詳しいのでよろしければご参照ください。

さて、この「牽制マトリクス」ですが、「企業」ではなく「個人」の目線で見たとき、もうひとつの側面が浮かび上がってきます。

技術やアイデアといったものは本質的に「個人」が生み出すもので、すべての技術やアイデアは「個人」に紐づいています。

つまり、この「牽制マトリクス」上にある特許/技術を持つ「個人」は、該当する有望成長市場で活躍できる可能性が高い、ということでもあるのです。

「企業」が成長領域のベンチャー企業に投資するように、「個人」もまた自分という資本を成長領域に投入するようになるのではないか、とか。

「企業」と「個人」が同じ成長領域に投資しようとするとき、両者のアイデンティティが限りなく近づく瞬間があるのではないか、とか。

そういったことを考えながら今日もこつこつSQLを叩いています。
現場からは以上です。それでは!

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