astamuse Lab

astamuse Labとは、アスタミューゼのエンジニアとデザイナーのブログです。アスタミューゼの事業・サービスを支えている知識と舞台裏の今を発信しています。

マーケティングとエンジニアとの関わりについて

はじめまして。 アスタミューゼで事業開発・マーケティングを担当しているボーダー☆キングと申します。開発部長の並河さんより、当ブログの執筆という大役を頂きました。緊張しています(笑)。

参考)この人形が執筆者に廻ってきます…。(通称:白い悪魔) f:id:astamuse:20180117185726j:plain

このブログはエンジニアとデザイナーのブログなので技術的なお話が多いと思うのですが、今回は趣向を変えて、企画からリリースまでのマーケティングとエンジニアの関わりや、ベンチャーならではの関わり方だなー、と思ったことについて記してみたいと思います。

1.簡単な略歴

その前に、私の経歴について触れておいた方が判りやすいですかね。
私はアスタミューゼが3社目の会社になります。

1社目:リクルート
リクルートでは、WEB商品を中心に新規商品の策定などを行っていました。割とヒットしたのは「街の不動産屋さんでも扱える、簡単CMSツール」というコンセプトで企画・開発した「ホームページサービス」でしょうか。担当した1年で年間売上1.5億の商品になりました。

例)ホームページサービス
https://business.suumo.jp/chintai/lineup/hpservice.html f:id:astamuse:20180117185921j:plain

【企画にあたり、主にやったこと】
・競合調査と商品優位性の規定
・Information Architectureとワイヤーフレーム作成
・営業とエンジニアの間に立っての仕様調整
・既存物件DBとの繋ぎこみ設計

2社目:カカクコム
カカクコムでは、商品比較サイト「価格.com」のコミュニティ担当としてサイト改善やリニューアルを担当していました。大きい仕事では「ランキングページの8年ぶりのリニューアル」ですかね。リリース後、ランキングページのUUを1.2倍まで持って行くことに成功しました。

例)ランキングページ
http://kakaku.com/kaden/lcd-tv/ranking_2041/ f:id:astamuse:20180117190035j:plain

【企画にあたり、主にやったこと】
・ユーザーヒアリングに基づいたコンセプト設計
・ワイヤーフレーム作成
・各画面の詳細仕様設計と策定
・エンジニアとの仕様調整

アスタミューゼでは「転職ナビ」というサービスを主に担当しています。
過去に企画で行ってきた作業をベースにしながら、顧客対応や各種有料集客施策といったフロントの部分から売り上げを最大化するための運用面まで幅広く見渡しながら日々過ごしています。

2.転職ナビとは

「転職ナビ」とは、様々な特許情報や技術情報を持っているアスタミューゼが、そこに携わる人材の支援もトータルで行いたい、という思想で生まれた転職サイトです。2010年のサービスを開始より、今では年間あたり3万人以上の登録を頂くサイトに成長しています。

indeedやDODAといった大手の総合型のサイトと異なる強みは何か、というと特定の技術分野に特化していることがひとつとして挙げられます。

例えばですが
 ・有機EL転職ナビ
 ・核融合転職ナビ
 ・Scala転職ナビ

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一例)Scala転職ナビ
といった、かなりニッチな(笑)サイトが400近くあります。
「転職ナビ」はScalaを開発言語で活用していますが、Scala転職ナビ経由で登録された方は確実にその言語に対する技術を持っていらっしゃるため、総合型サイトと比較しても格段のマッチング精度で募集することが出来る、いうことがプロダクトとしての強みだと思います。

3.転職ナビのビジネスモデル上の課題

次は、転職ナビのビジネスモデルとその課題についてご説明します。
転職ナビはサイト毎にパーソルキャリアやジェイエイシーリクルートメントなどの大手人材紹介会社と提携をしており、基本的にサイト毎の提携先に登録者を紹介させて頂いています。
ただし、紹介した方が既に他のルートで人材紹介会社に登録済みの場合、他の提携先に送客させて頂く場合があり、それは登録者全体の3割程度が該当します。
年間にすると1万人程度の人数となり、その方たちには他の提携先の求人状況やサービス範囲などの条件と照らし合わせて、最適な提携先を紹介する必要があります。
非常に重要な業務なのですが、多岐にわたる提携先の特徴を視野に入れながら、提携先も求職者も喜んでいただける紹介選定は職人芸に依るところが大きく、ナレッジの共有化と継続性、労働工数という観点で大きな課題となっていました。

イメージ)再送客先選定は一子相伝の職人芸 f:id:astamuse:20180117190413j:plain

4.機械学習を活用した判定結果の導入

「こんなことで困っているんですよねー」
ある日飲み会の席で開発部長の並河さんに軽く相談したところ、「毎年3万人以上のデータが整っているのであれば、機械学習を活用すれば、ある程度判定を自動化することもできるんじゃないですかねー」と提案を頂きました。

イメージ)仕事のことも気軽に相談できる懇親会 f:id:astamuse:20180117190454j:plain

後日、提携先ごとに数千から数万存在する過去の判定結果(この人はカウンセリングの対象かどうか)を並河さんにお渡しし、数日経ったシミュレーションの結果がこちらになります。

参考)ある提携先のシミュレーション結果 f:id:astamuse:20180117190528j:plain

登録者の個人情報は「年齢」や「職種」など様々な要素で構成されていますが、ある提携先がカウンセリングしたくなる人は、どの項目と相関性が強いかを表しています。
(クリーム色に網掛けしてある部分が相関性の強い構成要素の組み合わせになります)

こうした試行錯誤をしていく中で、企画とエンジニアの「こうした要素の関連が強いのではないか」というやり取りを頻繁に行い、結果として「年齢」「都道府県」「職種小分類」を活用したものを採択しました。

実際の運用としては、既存登録者の個人情報を機械学習の判定プログラムにかけると、それぞれの人にスコアと判定がついて戻ってきます。

例えば
Aさん…スコア:0.6 判定:○
Bさん…スコア:0.3 判定:×
というような形です。

このプログラムのスコア0.6で「○」が付いたAさんは99.6%以上の確率でカウンセリングへと繋がることが分かっているため、この提携先に紹介すれば良いですし、同様にBさんは98.6%の確率でカウンセリングに繋がらないので、他に適した提携先を紹介すれば良いことになります。

参考)スコアと○×の正解率一覧表
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こうして確実に、スピーディーに新しい提携先に登録者を紹介することが可能となりました。
以前はこの運用に毎日150分という時間をかけていましたが、30分で終了できるようになり、提携先の信頼を担保しながら、大幅な運用工数の削減をすることができました。

また、現在はこの考え方を活用して、過去に登録した方に対して再登録を促すメール送信する対象者を選定するなど、様々な施策への応用を行っています。

5.おわりに

ある案件を参考に、マーケティングと開発の関わりを簡単ですが記してみました。
過去に経験した2社はいずれも大手企業に属する会社だと思いますが、最後にそれらとアスタミューゼの違いみたいなものを書いておきたいと思います。

a.コミュニケーションコストが低くて済む
私がいたころのリクルートは、開発といえば丸投げで、開発会社が膨大なコミュニケーションコストをかけて内容をキャッチアップする、という構図でした。営業サイドもITに明るい人が少なかったため、ものすごくコミュニケーションに時間を割いていました。アスタミューゼは基本自社開発ですので、プロダクトのことを熟知した方が多く、阿吽の呼吸で物事を進めることができるのは心地良いと思います。

b.まずやってみる、という気軽さ
カカクコムは一つのサイトが巨大すぎて影響範囲を確認するだけでも大変で、企画から承認まで6カ月くらいかかることがザラでした。今回採り上げたお話しもそうですが、エンジニアの課題解決力と新しい技術への好奇心から「まずやってみる」、というフットワークの軽さがあるのはベンチャー企業ならではではないでしょうか。

8年以上続く成熟した自社プロダクトを持ちながら、ベンチャーならではの足回りの速さを持ち合わせている開発現場だからこそ、マーケティングやエンジニアやデザイナーも日々様々な挑戦が出来ているのではないかなー、と思います。

最後になりましたが、 アスタミューゼでは現在、エンジニア・デザイナーに限らず幅広い職種を募集中です。 興味のある方はぜひ採用サイトからご応募ください。

採用情報|アスタミューゼ株式会社

ではまた。

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